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ArtTech事例紹介|AIで不動産仕入れ判断を高度化―池袋と天王洲を比較した事例

8月20日
読了時間: 4分

更新日:9月7日


中小の不動産販売会社の経営者の方と、約2億円のタワーマンションを仕入れる場合、池袋と天王洲アイルのどちらを優先すべきか、一緒に検討しました。


相談のきっかけは、

「自分だったら、どちらを買いますか?」

という質問でした。


私は交通利便性などから池袋と回答しましたが、そもそも私は2億円のマンションを購入する想定顧客ではありません。


そこで、個人の感覚だけではなく、市場データも確認した方が良いのではないか、という話になりました。


AIに聞いても「どちらも良い」

社長自身も生成AIを使い、「池袋と天王洲アイルでは、どちらが良いか」と質問していました。


しかし返ってくるのは、

「池袋は交通利便性が高い」「天王洲は住環境や眺望に魅力がある」

といった、どちらにもメリットがあるという回答。


これでは、実際の仕入れ判断には使いにくい。

そこでまず、何を判断したいのかを整理しました。


今回重要なのは「どちらの街が魅力的か」ではなく、

「約2億円の物件を仕入れて販売する場合、どちらの市場の方が仕入れ判断をしやすいか」

という点です。


まず今年の市場状況を確認

今年の不動産市場の状況も踏まえ、池袋と天王洲アイル周辺について、成約件数や在庫状況などを確認しました。


当初は資金回転率に差があるのではないかと考えていましたが、エリア全体で見ると、回転性には大きな差が見えにくい。


そこで次に、

「実際にどの価格帯の物件が売れているのか」

という視点に分析を進めました。


同じ「2億円」でも意味が違う

直近の成約事例や売出価格をAIでリサーチしていくと、池袋と天王洲アイルでは、同じ2億円でも市場の中での位置づけが異なることが見えてきました。


池袋では、80㎡前後でも2億円を超える成約事例があり、2億円という価格が高級タワーマンション市場の中に比較的入りやすい。


一方、天王洲アイルでは、2億円になると市場の中でも上位価格帯となりやすく、広さだけではなく、

  • 高層階

  • 眺望

  • 角部屋

  • 建物のブランド性

  • 室内状態

など、「なぜ2億円なのか」を説明できる商品力がより重要になる可能性が見えてきました。


つまり、

「天王洲で2億円は売れないのか?」

ではなく、

「天王洲で2億円を出してもらうには、どのような条件が必要なのか?」

と問いを変えることで、仕入れ判断に使える情報へと変わっていきます。


経験知をAIで補強する

中小の不動産会社では、経営者や営業担当者が持つ業界経験や、仲介会社などから得る情報が重要な判断材料になっています。


今回も、それらの経験知をAIに置き換えるのではなく、

AIを使って市場データから裏付けを取り、別の角度から検証する

という使い方をしました。


社長が実務の中で得ている情報と、AIで調べた直近の市場情報を照らし合わせながら壁打ちすることで、仕入れ判断の解像度を上げていきました。


今回のリサーチに長期間をかけたわけではありません。

大規模な市場調査ではなく、1時間弱のAIとの壁打ちでも、経営判断に必要な論点や、次に確認すべきデータをかなり整理することができました。


AIの強みは、最初から正解を出すことよりも、短時間で仮説を広げたり、比較軸を作ったりしながら、議論を一段深くできるところにあると感じます。


AIは「答えを出す道具」ではない

今回改めて感じたのは、AIは単に答えを聞くための道具ではなく、

「問いを整理し、経験知を検証可能な形に変える道具」

として使うと効果が高いということです。


今回も、

どちらの街が良いか

どちらが売れやすいか

市場の回転性に差はあるか

実際に売れている価格帯はどう違うか

2億円で売れるために必要な商品条件は何か


と、AIとの壁打ちを通じて問いそのものが変化していきました。


人間が持つ業界経験や現場感覚に、AIによる情報収集・比較・仮説検証を組み合わせる。


その結果、

経験知 → 仮説 → AIリサーチ → 検証 → 意思決定

という、より実務的なリサーチプロセスを作ることができます。


ArtTech Consultingでは、生成AIの導入そのものではなく、経営課題を分解し、AIを使って意思決定の解像度を上げる支援も行っています。

 
 
 

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