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現地レポート|日本画と江戸染が生んだ、新しい浴衣デザイン
先般、ギャラリー巡りで伊勢丹浦和店を訪れました。美術サロンでは、雑誌『Art Collectors’』の人気企画「完売作家特集」で紹介された作家8名による新作展が開催されていました。 会場では、日本画家の宮下真理子さんが在廊されており、作品について直接お話を伺う機会がありました。 (宮下さんの日本画、競馬場まで行かれてサラブレッドを描かれているとのこと) 特に印象に残ったのが、宮下さんが絵柄を制作し、江戸染の職人が染め上げた浴衣コレクションです。サラブレッドをモチーフにしたデザインは、伝統的な浴衣のイメージとは異なる、現代的で力強い印象を受けました。黒色の作品に描かれた馬の柄は「馬九行久(うまくいく)」と読み、万事が順調に進むという縁起の良い意味が込められているそうです。 (浴衣の図柄) 宮下さんのお話では、かつては日本画家が染物の図案を手掛けることも多かったものの、現在ではそのような機会が少なくなり、過去の図案を繰り返し使用する商品も少なくないとのことでした。 伝統工芸を守ることは、過去のデザインをそのまま残すことだけではありません。現代の作家
HIRONORI YO
7月20日読了時間: 2分


現地レポート|解体予定のビルをアート空間へ――解体・再開発におけるアート活用
赤坂アドレスビル解体祭 現地レポート 赤坂で開催された「赤坂アドレスビル解体祭―AKASAKA ART ACTION―」を訪問しました。会場は、今後解体を予定している赤坂アドレスビルです。通常であれば閉鎖後、そのまま解体工事に入るところですが、今回は建物全体が期間限定のアート空間として開放されていました。 作品展示だけでなく、壁や床へのドローイング、子どもも参加できるワークショップ、トークイベントなどが行われ、解体予定の建物に多くの人が集まっていました。 今回、特に印象に残ったのは、「解体は終わりではなく、始まりである」という考え方です。 会場では、 壊す こねる つくる という流れが紹介されていました。 これは建物の解体だけでなく、自分自身の思い込みを壊し、異なる価値観や素材を混ぜ、新しいものをつくるという意味も含まれています。 解体・不動産開発・アートの共創 トークイベントを聞いて感じたのは、今回の企画が単なるアートイベントではなく、それぞれの事業上の思いが重なって実現したプロジェクトだということです。 解体会社の都市テクノは、解体を単なる撤
HIRONORI YO
7月10日読了時間: 3分


現場レポート|35年前から取り組まれてきたアートとの共存
今回取り上げるのは、横浜にある**YBP(横浜ビジネスパーク)**です。 以前にも仕事で訪れたことがある場所ですが、当時の私にとっては「横浜駅からさらに乗り継いで行く、少し不便な場所にある大規模なオフィス街」という印象でした。 しかし今回、改めてYBPを訪れてみると、施設内に想像以上に多くのアート作品が展示されていることに驚きました。 大型の絵画や抽象作品、立体作品、木材や繊維などさまざまな素材を使った作品が、エントランスや廊下、共用スペースなどに配置されています。 さらに屋外にもパブリックアートが設置されており、アートが建築やオフィス空間の中に自然に組み込まれています。 35年前のバブル期に始まった取り組み YBPの第1期工事が完成したのは1990年。今から35年以上前のバブル期に開発されたビジネスパークです。 バブル期の日本では、豊富な資金を背景に、建物を単なる「働くための箱」としてつくるのではなく、建築、広場、緑、デザイン、そしてアートを組み合わせ、より豊かな都市空間をつくろうとする試みが行われていました。YBPも、そうした時代背景の中で生
HIRONORI YO
7月7日読了時間: 4分


現場レポート|鳥取県立美術館から学ぶ、新しい公立美術館の運営モデルと地域文化戦略
2025年3月に新たに開館した鳥取県立美術館について、現地視察をしてきました。今回の視察では、作品鑑賞だけではなく、施設設計や運営方法、地域との連携という視点から見学しました。地方都市における新しい公立美術館のあり方として、多くの学びがありました。 1.鳥取県立美術館について 鳥取県立美術館は、2025年3月30日に鳥取県倉吉市に開館した鳥取県初の県立美術館です。これまで鳥取県では、鳥取県立博物館が美術作品の収集・展示を担ってきましたが、新たな文化拠点として独立した美術館が整備されました。 開館前から全国的に話題となったのが、アンディ・ウォーホル《ブリロ・ボックス》の購入です。 (現地視察時に撮影、購入は5点で1点が展示) 約3億円という購入金額について賛否両論がありましたが、その一方で全国的に鳥取県立美術館の存在を知ってもらうきっかけとなり、結果として全国ニュースでも大きく取り上げられ、賛否はあったものの、美術館開館前から全国へ認知を広げる高い広告宣伝効果を生み出したと言えるでしょう。 美術館のコンセプトは「未来をつくる美術館」です。作
HIRONORI YO
6月29日読了時間: 7分


ArtTech事例紹介|視点のコンサルティング
先日、若手の日本画家の方から、 「もっと自然を感じさせる絵を描けるようになりたい」 という相談を受けました。 作品を拝見すると、花や木、鳥など自然への観察力は十分にあります。 そこで私は技法ではなく、視点についてお話しました。 「自然を描くのではなく、自然の中の時間を描いてみては?」 例えば、 ・雨が降る直前の空気 ・桜が散る5分前の気配 ・朝霧が消える瞬間 ・鳥が飛び立った直後の静けさ そんな時間です。 睡蓮の絵で有名なモネが光や空気感を感じさせるように、時間を感じさせるような絵を描くという視点です。 また、インプットとして、 ・1960年代などの日本人画家の作品や二科展などの作品を効率よく学ぶ方法として、美術館の図書館にて図録を見る(国立新美術館 アートライブラリー) ・自然の表現が豊かな海外の絵本を見る(国立こども図書館) ・自然の中を歩く(東京近郊(狭山丘陵(トトロの森)、奥多摩の御岳山)など) も提案しました。 すると作家さんから、 「自然の中の時間を描く!!まさにそれです!」 という言葉をいただきました。 さらに、 「自然の気配を描き
HIRONORI YO
6月17日読了時間: 2分


現場レポート|地域ビジネス活性化に美術館を活かす戦略事例 ― 飯能「メッツァ」とハイパーミュージアム飯能を訪れて
先日、埼玉県飯能市にある「メッツァビレッジ」を訪問して来ました。 飯能といえばムーミンバレーパークのイメージが強いですが、その隣に「HYPER MUSEUM HANNO(ハイパーミュージアム飯能)」という現代アート美術館が2025年3月に開館されていました。 今回興味を持ったのは、アート作品そのものよりも、 「なぜ飯能という場所で、美術館を活用した地域活性化が行われているのか」 という点です。 地域活性化のアクセントに美術を活用している 現地を訪れてまず感じたのは、ハイパーミュージアム飯能は単独の美術館として成立させようとしているわけではない、ということです。 メッツァビレッジは、 ・北欧ライフスタイル体験 ・ムーミンバレーパーク ・飲食施設 ・物販施設 ・イベントスペース などが一体となった複合施設です。 さらにその中に現代アート美術館が配置されています。 つまり、 「美術館に人を集める」 のではなく、 「人が集まる場所に美術館を配置する」 という発想です。 地域ビジネスとして考えた場合のポイント 今回現地を歩いていて最も興味深かったのは、 「
HIRONORI YO
6月10日読了時間: 3分


ArtTech事例紹介|生成AIで企画書は作れるが、事業は作れない
先日、「オンライン型の子供向け教育・コミュニティサービス」の立ち上げを検討されている方に対し、事業コンセプトやビジネスモデルに関する企画支援を実施しました。 企画内容は社会課題の解決を目的としたもので、理念やビジョンは非常に魅力的な内容でした。一方で、事業として成立させるためには、サービス内容だけでなく、顧客への届け方や収益構造についても検討する必要があります。 今回の支援では、主に以下の観点からアドバイスを行いました。 集客導線の整理 新規事業では「何を提供するか」と同じくらい、「どのように顧客を集めるか」が重要です。どれだけ優れたサービスであっても、顧客との接点がなければ事業として成立しません。ECサイトやITサービスと同様に、 ・最初の顧客は誰なのか ・どこでサービスを知るのか ・どのような導線で利用につながるのか を整理する必要があります。 AI時代における価値の再定義 生成AIの普及により、知識の取得や情報収集の価値は大きく変化しています。 その一方で、 ・創造力 ・発想力 ・表現力 ・共創する力 の重要性は今後さらに高まると考えられま
HIRONORI YO
6月4日読了時間: 2分


未来仮説|経済産業省も注目する「アートと経済社会」
以前のアート関連情報ですが、経済産業省が「アートと経済社会」に関する研究報告書を公開しています。 経済産業省 「アートと経済社会について考える研究会報告書」 報告書の中では、 創造性がこれからの経済成長の鍵になること 社会におけるアートへの関心の高まり テクノロジーによるアートの変化 「アート・エコシステム」という考え方 などが整理されており、非常に興味深い内容でした。 個人的にも、AI時代や成熟社会に入る中で、単なる効率化だけではなく、 文化 感性 創造性 の価値が、今後さらに重要になっていくと感じています。 最近は特に、「AIが情報処理を担う時代だからこそ、人間側には“問いを作る力”や“意味を編集する力”が求められる」と感じる場面が増えてきました。 また、日本は本来、祭り・工芸・庭園・茶道など、生活の中に自然と文化が存在していた国でもあります。 地域文化や空間体験、アートの持つ“意味”を、テクノロジーやDXとどう接続していくかは、今後さらに重要なテーマになっていくのかもしれません。 経済優先だった時代から少しずつ変化し、現在は国レベルでも「ア
HIRONORI YO
5月25日読了時間: 2分


ArtTech事例紹介|AI・現場ヒアリング・戦略設計を組み合わせたマーケティング支援
今回は、AI画像処理技術に強みを持つIT企業様向けに、道路・現場業務向けAIサービスに関するマーケティング・営業戦略の検討支援を行いました。 対象企業は、既にエンドユーザーへAIサービスの導入実績を持つ一方で、 営業リソース不足 新規業界へのネットワーク不足 実績の横展開方法 AIを活用した戦略検討の方向性整理 に課題を抱えていました。 また、企業側でも既に生成AIを活用し、市場調査や営業ターゲットの整理などは進められていましたが、「市場は見えているが、何から優先的に動くべきか」「少人数体制で、現実的にどう営業展開するか」という“実行レベル”での整理に悩まれている状況でした。 今回の支援では、 現場ヒアリング 建設・インフラ業界の実務確認 サービスの強み・制約条件整理 AIを活用したマーケティング戦略案作成 営業用インフォグラフィック作成 を実施しました。 特に重視したのは、「理想論」ではなく、 少人数でも回せるか 営業担当が実際に動けるか 既存実績をどう活用するか という“現場ベース”の視点です。 今回は、単にAIへ相談するのではなく、 営業体
HIRONORI YO
5月18日読了時間: 2分


文化×ビジネス|戦国時代に学ぶコミュニティデザイン
〜茶会は文化を起点とした調整ハブだった?〜 先日、静嘉堂文庫美術館関連の講演会「豊臣兄弟と利休の茶会」に参加してきました。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の影響もあるのか、会場は200席以上あるホールが満席。“戦国時代の人間関係の作り方”に興味を持つ人が多いのだと感じました。 講演を聞いていて面白かったのは、戦国武将も現代人とかなり似た感覚で動いていたことです。 例えば豊臣秀吉。 戦線で不利な状況となった際、兵力を温存するため、あえて戦線から離脱したことについて、信長との関係が悪化したとも言われています。 しかし興味深いのは、その後、単純に弁明するのではなく、「茶会」を通じて関係修復や忠誠表現を行っていたとも解釈できる内容があったことです。 具体的には、秀吉は信長に近い立場の茶人や側近を招き、信長から下賜された茶器を使用することで、自らの忠誠心や織田政権との繋がりを間接的に示していたと言われています。 つまり茶会とは、単なる趣味ではなく、 “戦国時代のコミュニケーションインフラ” として機能していたということです。 特に興味深いのは、その中心に文化
HIRONORI YO
5月16日読了時間: 3分


未来仮説|世界のアート市場2026から見える「次の波」
Art BaselとUBSが共同発表した「Art Market Report 2026」を読むと、世界のアート市場が再び成長局面に入りつつあることが見えてくる。2025年の市場規模は約596億ドル、前年比4%増。特に公開オークション市場は9%増と、市場回復を牽引した。 個人的に面白いと思ったのは、アート市場がグローバル資本の動きと強く連動している点である。 現在、市場の76%を 米国 44% 英国 18% 中国 14% の3か国が占めている。 特に中国市場は、不動産不況の影響を受けながらも世界第3位を維持しており、富裕層による文化資本への投資需要の大きさを感じる。 上海にいた頃から感じていたが、現地のエリートサラリーマンや富裕層は、日本よりも「文化資本」を持つ意識が強い印象がある。 一方、日本市場は世界的に見るとまだ小さい。 日本は個人金融資産が大きい一方で、「投資」や「文化資本」に資金が流れにくい構造が長く続いてきた。 ただ最近は、 アートフェア拡大 インバウンド増加 富裕層マーケット形成 ホテルやオフィスにおけるアート活用 など、少しずつ変
HIRONORI YO
5月7日読了時間: 2分


ArtTechトレンド|東京ポイントと美術館・博物館
東京都が提供する都民向けアプリ 東京都公式アプリ において、11,000ポイント還元施策が話題となり、ご存知の方も多いのではないでしょうか。 この東京ポイントは、民間の決済・ポイントサービスへの交換に注目が集まりがちですが、もう一つ注目すべき使い道があります。 それが、東京都が運営・所管する文化施設のチケット交換です。 対象施設として、以下のような都立文化施設が用意されています。 東京都庭園美術館 東京都写真美術館 東京都江戸東京博物館 江戸東京たてもの園 例えば、一般料金1,000円のチケットが800ポイントで交換できるなど、通常料金よりも少ないポイント数で利用できるケースもあり、実質的な割引設計になっています。 多くの利用者は、日常生活で使いやすい民間ポイントや決済サービスへの交換を優先すると考えられます。これは自然な流れです。 一方で、文化施設利用という選択肢を設けている点は、東京都らしい政策設計と言えるでしょう。 さらに、ポイント取得方法を見ると、単なる配布施策ではなく、都民参加型の行動促進策として設計されている点も興味深いところです。
HIRONORI YO
5月1日読了時間: 2分


ArtTech事例紹介|京都の宿泊施設「BIRD HOSTEL」におけるアート広告支援
ArtTech Consultingでは、ITや事業戦略だけでなく、アートを活用した集客・体験価値向上の企画支援にも取り組んでいます。 今回はその一例として、外国人旅行者の利用が多い京都の宿泊施設「 BIRD HOSTEL」 向けに、アート広告・販促施策のアイデア支援を行った事例をご紹介します。 宿泊施設に求められるのは「泊まる」以上の体験価値 京都には世界中から多くの旅行者が訪れます。 その中で宿泊施設に求められる価値は、単なる宿泊機能だけではありません。 京都らしい思い出になること 写真に残したくなること 人に話したくなること SNSで共有したくなること 再訪時に思い出してもらえること つまり、滞在そのものが記憶に残る体験設計が重要になります。 今回の提案|ポストカードを広告媒体に変える 今回ご提案したのは、宿泊客向けのオリジナルポストカード施策です。 宿泊時に無料で配布し、 記念品として持ち帰れる 写真映えするデザイン 旅の思い出として残る 友人への共有にも使える という役割を持たせました。 さらに、ポストカードにはQRコードを配置し、 施
HIRONORI YO
4月24日読了時間: 2分


ArtTech事例紹介|アート思考でBtoCアプリ量産企画の構想支援を行った話
ArtTech Consultingでは、ITコンサルティングに加え、 アート思考を活用した企画支援 にも取り組んでいます。 今回はその一例として、小規模開発チームに対し、 BtoCスマホアプリ量産企画に向けた構想支援・企画提案 を行いました。 技術力はある。しかし、企画の継続性や新規アイデア創出に課題を感じている。 そのような企業に対し、既存リソースを再整理し、事業機会へ変換するアプローチです。 開発力はある。だが、何を作るかで止まりやすい。 対象チームは、少人数ながら高い実装力とスピード感を持っていました。 iPhone / Androidアプリ開発可能 少人数で意思決定が速い AI活用による簡易デザイン対応 スピード開発が可能 一見すると十分強い体制です。 一方で、次のような悩みも見えてきます。 アイデア創出が属人的になる 企画ネタが継続しない 開発力を活かし切れない AI時代で競争が激しくなる つまり、 作れる力はある。だが、何を作るかで止まりやすい。 ここが本質的な課題でした。 ArtTechの視点|制約を市場ポジションに変える 今回の
HIRONORI YO
4月19日読了時間: 3分


ArtTechトレンド|美術館体験にも、いよいよAIが本格導入
アート好きの知人から紹介いただいたアプリをご紹介します。AIを搭載した次世代の美術館体験プラットフォーム「ARTLAS」 https://play.google.com/store/apps/details?id=com.artlas.app&hl=ja 従来の音声ガイドを拡張し、AIを組み込んだ点が特徴です。 ・鑑賞レベル(子供向け/一般/専門家)を選択可能 ・鑑賞時間を設定し、最適なガイドを提供 ・多言語対応 ・作品に対してAIへ直接質問が可能 一方で、現時点ではAI回答の音声読み上げには未対応など、改善余地も見られます。 個人的には、これまで写真撮影可能な展示では、撮影した作品をAI(例:Gemini等)に入力し、作家や作品背景の理解を深めたり、自分の感想を起点に対話することで知識拡張を行ってきました。それがアプリケーションとして統合され始めた点は、非常に興味深いと感じています。 写真撮影が制限される企画展も多い中で、今後どのように体験価値を拡張していくのか。アート×AI領域の進化に注目しています。
HIRONORI YO
4月5日読了時間: 1分
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