現地レポート|解体予定のビルをアート空間へ――解体・再開発におけるアート活用
- HIRONORI YO
- 7月10日
- 読了時間: 3分

赤坂アドレスビル解体祭 現地レポート
赤坂で開催された「赤坂アドレスビル解体祭―AKASAKA ART ACTION―」を訪問しました。会場は、今後解体を予定している赤坂アドレスビルです。通常であれば閉鎖後、そのまま解体工事に入るところですが、今回は建物全体が期間限定のアート空間として開放されていました。
作品展示だけでなく、壁や床へのドローイング、子どもも参加できるワークショップ、トークイベントなどが行われ、解体予定の建物に多くの人が集まっていました。

今回、特に印象に残ったのは、「解体は終わりではなく、始まりである」という考え方です。
会場では、
壊す
こねる
つくる
という流れが紹介されていました。
これは建物の解体だけでなく、自分自身の思い込みを壊し、異なる価値観や素材を混ぜ、新しいものをつくるという意味も含まれています。
解体・不動産開発・アートの共創
トークイベントを聞いて感じたのは、今回の企画が単なるアートイベントではなく、それぞれの事業上の思いが重なって実現したプロジェクトだということです。
解体会社の都市テクノは、解体を単なる撤去工事ではなく、建物の記憶を残し、次の街づくりへつなげる事業へ変えようとしています。今回で7度目とのこと。企業としての本気度と、企画のクオリティの高さを感じました。
建て替えを行う日鉄興和不動産は、不動産開発にアートを継続的に取り入れ、建物や街の差別化につなげようとしています。また今後は、テナント企業に対するアート活用の提案も検討しているとのことでした。
そして、アーティストの藤元明氏は、三菱地所と有楽町でも展開してきた「ソノ アイダ」の取り組みを通じて、再開発前の空いている建物をアーティストへ開放しています。
東京の都心には、開発まで使われていない建物があります。一方で、アーティストは活動場所を確保しにくく、家賃の安い郊外へ移っていきます。その空白期間をアーティストに開放する発想は、非常に合理的でありながら、都市に新しい文化を生み出す可能性があります。
今回のプロジェクトは、
解体会社の事業革新
不動産デベロッパーの差別化
アーティストの活動場所の創出
を同時に実現しようとする取り組みだと感じました。
アートは開発に問いを加える
企業だけで企画すると、どうしても目的や成果が先に決まり、収束的な内容になりがちです。
そこにアートが入ることで、
なぜ壊すのか
建物の記憶は誰のものか
廃材は本当に不要なのか
開発前の空白期間に価値はないのか
という問いが生まれます。
アートを完成後のビルに飾るのではなく、解体前という開発プロセスの中に入れる。その結果、解体工事が人の集まる場所となり、企業・地域・アーティストの間に新しい関係が生まれます。
今回の建物や作品は、最終的には解体とともに消えていきます。ただし、3Dスキャンによる記録も行われており、建物や作品の痕跡はデジタルアーカイブとして残されます。解体は、失うことだけではありません。
新しい建築、新しい素材、新しい関係を生み出す始まりでもある。
今回の解体祭は、解体・不動産開発にアートの視点を組み合わせることで、新たな問いを生み出しながら、解体事業や不動産開発の価値向上にもつなげる、非常に興味深い社会実装の事例でした。
ArtTech Consultingでは、不動産・都市開発・企業空間におけるアート活用や、事業企画の整理を支援しています。



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